働き方の多様化が進んでいる中で、被用者保険(健康保険・厚生年金保険)の適用のあり方について厚生労働省の懇談会で議論が進められてきました。

先日、その取りまとめが公表されたので、その要旨をご紹介していきます。

まだ具体的な施策が提示されているわけではありませんが、これらをチェックすることで制度変更について事前に把握し、適切な対応がしやすくなります。

是非公表の要旨についてご確認いただき、準備を進めていただけたらと思います。

被用者保険(健康保険・厚生年金保険)についての方向性

被用者保険(健康保険・厚生年金保険)の適用の在り方についての議論ですが、短時間労働者について今後の方向性が示されていることが話題となっています。

ここからは、議論の要旨と方向性について説明していきます。

・短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲について
厚生労働省の議論では、短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲を拡大する方向で検討が進められています。

現在、週20時間以上働き、月収8.8万円以上の学生ではない短時間労働者は、従業員数が100人を超える企業(令和6年10月からは50人超)で、健康保険と厚生年金保険に加入する必要があります。

ただ、この適用基準から企業規模要件を撤廃することが検討されており、より多くの短時間労働者が保険に加入することになる可能性があります。

・その他の適用要件の議論
企業規模要件については、「他の要件よりも優先して撤廃を検討すべき」として、今回公表されています。

企業規模要件以外に「労働時間要件」「賃金要件」「学生除外要件」についても議論がおこなわれましたが、それぞれまだ課題があり、今後も検討が必要とされています。

参照:厚生労働省「働き方の多様化を踏まえた被用者保険の適用の在り方に関する懇談会 議論の取りまとめ」

今後の動向について

今回の懇談会では、具体的な時期は示されなかったものの、将来的には社会保険の被保険者が50人以下の企業にまで、社会保険の適用範囲が拡大することも議論されました。

社会保険へ加入する従業員が増えることは、社会保険料の事業主負担が増加することになりますので、今後も動向について情報が分かり次第お伝えしていきます。


被用者保険の適当の在り方については、今度も様々な情報が出てくることが予想されます。厚生労働省からの公表内容については、お手すきの際にチェックしてみることをおすすめします。