1. はじめに
今年度が始まってから3か月が経過しました。
従業員の皆さまの健康診断は進んでいますでしょうか。
今回は、健康診断の実施意義や対象者、実施時期、事後の措置などについて、ご説明させていただきます。
2. 健康診断の必要性
年1回の健康診断(定期健康診断)の実施は、法律上会社の義務となっています。
また健康を損なってしまった従業員を長時間働かせたりした場合等には、会社の安全配慮義務違反に問われることにもなりかねません。従業員の方の健康状態を把握することは、会社を守るためでもあります。
そして何より従業員の方一人ひとりの健康は、仕事をするモチベーションの向上、生産性の向上、組織の活性化には欠かせないものです。
3. 健康診断の基本事項
では次に健康診断の基本事項です。
■対象となる従業員
→常時使用する従業員
①フルタイム従業員
②所定労働時間がフルタイム従業員の4分の3以上である従業員
※期間を定めて雇い入れた従業員も、1年以上継続して雇用を予定している場合、および1年以上引き続き雇用されている場合は対象となります。
■実施期間
→1年以内ごとに1回、定期に実施。
※一般的には、協会けんぽや組合から健康診断のお知らせが届いた時に予約して受診する流れになります。
■検査項目
①既往症および業務歴の調査
②自覚症状および他覚症状の有無の検査
③身長、体重、腹囲、視力および聴力の検査
④胸部エックス線検査および喀痰検査
⑤血圧の検査
⑥貧血検査
⑦肝機能検査
⑧血中脂質検査
⑨血糖検査
⑩尿検査
⑪心電図検査
4. 保管期間および報告
・健康診断個人票は5年間保管。
・従業員50人以上の事業所は、結果報告書を労働基準監督署へ提出。
5. 結果について医師からの意見聴取
「要所見」「要再検査」など異常の所見があった場合は、当該従業員の方の健康を保持するために、通常の勤務が可能かなど産業医等から意見を聴取しましょう。
医師からの意見を勘案し必要に応じて、
①就業場所の変更
②作業の転換
③労働時間の短縮
④深夜業の回数の減少
など、適切な措置を検討してください。
6. 定期健康診断Q&A
Q1. 病気休業や育児休業で休んでいる従業員がいます。定期健康診断の時期がきたのですが、受診させなければなりませんか。
A1. 休業中の場合は実施しなくて大丈夫です。
定期健康診断の実施時期に、従業員の方が病気休業や育児休業などの場合は、実施しなくて差し支えありません。
その場合、休業終了後にすみやかに当該従業員に対して実施するようにしてください。
Q2. 定期健康診断は、業務時間中に行わなければなりませんか?
A2. 業務時間中に実施する義務はありません。
もっともできるだけ従業員の方の便宜をはかり、所定労働時間内に行った方が望ましいとされています。
Q3. 個人的に人間ドック等を受けた従業員に対しても健康診断を実施する必要がありますか?
A3. その場合健康診断の必要はありません。
人間ドック等で受診した項目については、健康診断を実施する必要はありません。
しかし、人間ドックの結果の写しを会社に提出してもらう必要があります。
また、これと同様で市区町村が実施している健康診断を受診した場合も、会社にその結果を提出する必要があります。
ただし、市区町村が実施する健康診断の中には、法律で定められている健康診断の項目をすべて実施していない場合がありますので、健診機関等で不足する項目を受診した結果を会社に提出してもらう必要があります。
1年に1回の定期健康診断とともに、体調に不調があった際には迷わず受診する習慣をつけることが大切と思います。