はじめに
今年も労働保険年度更新の時期がやってきました。
弊所でも申告の準備をすすめている真っ最中です。
今回は年度更新の概要と確認ポイントをお伝えさせていただきます。
1. 労働保険とは
まずはじめに、改めて労働保険とは何でしょうか。
労働保険とは「労災保険」と「雇用保険」を総称した保険のことをさします。
そして、年度更新は昨年度従業員に支払った賃金総額をもとに、労働保険料と雇用保険料を国に申告・納付する手続きのことをいいます。
2. 確認ポイント
では、年度更新の確認ポイントを見ていきます。
【ポイント①】「概算保険料」と「確定保険料」
1つ目のポイントは、年度更新は最初に「概算額(概算保険料)」で申告・納付し、期限経過後に「確定額(確定保険料)」を申告する、そしてもし不足額があれば精算するシステムをとっていることです。
以下具体例を見ていきたいと思います。
令和6年度年度更新は、令和5年4月~令和6年3月までの賃金総額をもとに、「①令和5年度確定保険料」と「②令和6年度の概算保険料」を計算します。
上図は、令和5年度の申告済み概算保険料10万円が、令和5年度の確定保険料15万円より小さかったという例です(令和5年度の実際の賃金支払額が、当初予想し納付した概算保険料よりも多かった)。
この場合は、10万円(概算保険料)と15万円(確定保険料)の差額→【5万円】を、不足額として支払うことになります。
そして、原則として令和5年度の確定保険料が令和6年度の概算保険料となりますので、令和6年度の概算保険料は15万円ということになります。
このように毎年順々に計算していきます。
【ポイント②】対象となる従業員
ここからは、保険料の計算についてのポイントを見ていきます。
まず、対象となる従業員の把握です。
対象となる従業員は、労災保険と雇用保険で異なります。
正しく選定しないと、保険料を正しく計算することができませんので注意が必要です。
【ポイント③】「労働保険料の計算に含める賃金、含めない賃金」
次に、労働保険の計算に含める賃金と、含めない賃金についてです。
従業員に支払う賃金、手当、賞与などは名称に関わらず、労働の対価として支払うすべてのものが対象となりますが、一部恩恵的な給付などは対象となりません。
【ポイント④】「保険料率」
最後に保険料率の確認です。
算出した賃金総額に、保険料率をかけて保険料を算出しますが、労災保険・雇用保険それぞれで保険料率が異なります。
厚生労働省:令和6年度の労働保険料率表
https://www.mhlw.go.jp/content/rousaihokenritu_r05.pdf
厚生労働省:令和6年度の雇用保険料率
https://www.mhlw.go.jp/content/001211914.pdf
以上年度更新についての解説をさせていただきました。
雇用保険料率につきましては、昨年は年度途中で変更されるというイレギュラーの対応となりましたが、令和6年度は通常通り1年分をまとめて計算します。昨年度から料率の引き上げもありませんでした。