1. はじめに

一般社団法人日本能率協会が2023年11月13日~12月8日に「日本企業の経営課題2023」というテーマで調査を行いました。

この調査の対象は5,004社で、回答数は528社となっています。

調査は、企業各社が考える自社の「現在」や「3年後」「5年後」の経営課題や、昨年・一昨年からの課題の変化について問われるものでした。

参照:一般社団法人日本能率協会「日本企業の経営課題2023」
https://jma-news.com/wp-content/uploads/2024/04/83700c3e32950997c731c69fc3b398f1.pdf

2. 「現在」「3年後」「5年後」のすべてで『人材の強化』が最多

調査は、自社が当面する経営課題を、「現在」「3年後」については上位3つまで、「5年後」は1つだけ、下図の20項目から選択するものとなっていました。


調査の結果、「現在」「3年後」「5年後」のすべてで『人材の強化』が最も大きい経営課題として挙げられています。

3. 「現在」の経営課題

「現在」における経営課題のトップ3は下記の通りです。

第1位 人材の強化(48.9%)
第2位 収益性向上(44.9%)
第3位 売上・シェア拡大(32.0%)

過去3年間の推移を見てみると「人材の強化」が昨年から7.8ポイント増加して第1位となっており、人材についての課題が急激に高まっていることが見てとれます。

4. 「3年後」の経営課題

調査の「3年後」における経営課題のトップ3です。

第1位 人材の強化(46.4%)
第2位 収益性向上(30.1%)
第3位 事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築(28.0%)

「人材の強化」について、第2位と比べて15ポイント以上高く、3年後のスパンで見ても人材の課題が最重要と考えている企業が多いことが分かります。

5. 「5年後」の経営課題

調査の「5年後」における経営課題のトップ3です。

第1位 人材の強化(15.3%)
第2位 事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリスの再構築(11.7%)
第3位 CSR、CSV、事業を通じた社会課題の解決(8.3%)

5年後というとまだ明確な見通しは立たないものの「人材の強化」が最重要課題となっており、昨年から4.6ポイント増加しています。

6. 明確になった人材への課題感

調査では「現在」「3年後」「5年後」のすべてにおいて『人材の強化』が最も高くなっており、人材への課題感が明確になっていました。

労働人口の減少や雇用の流動化で人材確保の難易度が高まっていること、必要とされる能力やスキルが目まぐるしく変化していること、などが要因として考えられますが、人材についての課題に迅速に対応していくことは今後企業にとって非常に大切なことになってくると考えられます。


リスキリングの重要性などもよく聞かれるようになりましたね。
必要とされる能力やスキルが変化してきている今、人材の強化は高い優先度で取り組むべき課題となりそうです。