1. はじめに
厚生労働省では毎年労働基準監督年報を発行しており、労働基準監督署等による様々な活動実績を見ることが出来ます。
今回令和4年版の年報が公開されましたが、その中でも特に関心が集まると思われる「定期監督等」の違反状況とその注意点を取り上げさせていただきます。
2. 定期監督等における違反の多い10項目
労働基準監督官が企業に訪問するような調査(監督)は、令和4年においては年間171,528件行われており、そのうち毎月一定の計画に基づいて実施される「定期監督等」が142,611件(全体の83.1%)、労働者からの申告に基づいて実施される「申告監督」が16,639件(全体の9.7%)、再監督が12,278件(全体の7.2%)となっています。
そして、この「定期監督等」における違反状況について、違反件数の多い10項目は下記のようになっています。
上表を見ますと、健康診断や安全基準など労働安全衛生に関する違反の指摘が多くなされており、労働時間や割増賃金が続いているのが分かります。
また定期監督の頻度ですが、10年以上対象となっていない会社もあれば、前回調査から3~4年後に調査対象となる会社もあるようです。日頃より法令遵守をこころがけ、調査にいつでも対応できるようにしておくことが大切です。
■参考リンク
厚生労働省:労働基準監督年報
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/kantoku01/dl/r04.pdf
3. 罰則規定
次に今見てきました違反件数が多い10項目の罰則規定について、確認したいと思います。
それぞれの法律では、下記の通り罰則が規定されています。
労働基準監督署の指導は、すぐに罰則を適用するということではなく、是正に向けて丁寧に指導していくこととなっていますが、法律違反とならないように取り組んでいく必要があります。
4. 2024年4月以降に注意したい「労働条件の明示」に関する違反
では最後に、法改正による注意したい点です。
2024年4月より、労働条件の明示ルールが変わり、明示事項が追加されています。
これにより、来年度以降の労働基準監督署の調査において、こちらの確認が行われることが考えられます。
2024年4月1日以降に締結する労働契約より対応が必要になりますので、まだご準備をされていない場合は早めに対応していただくことをおすすめいたします。
■参考リンク
厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001156050.pdf