1. 3割の新入社員が入社直後で転職を考えている

先日、全国求人情報協会が、新卒の方が入社した時の意識調査結果を公表しました。
なんと3割の新入社員が、入社直後に「転職意向あり」と答えたそうです。
まだ入ったばかりの4月時点でそんなにも多くの人が転職を考えているとは驚きですね。
さらに、入社1年半になると、半分以上になっています。

参照:全国求人情報協会(2024)
https://www.zenkyukyo.or.jp/2024_shinsotsu/

この調査結果を見ると、今の新入社員が、何十年も会社に居続けるということの難しさが分かると思います。年功序列制が当然で、一つの企業に骨を埋めるのが多数派だった時代からの変化も意向に影響しているかもしれません。

2. 入社後に感じるギャップ

新入社員が入社して働き始めた後に、どんなギャップを抱えているのかも同調査で公表されています。

入社後のギャップは、良いギャップと悪いギャップに分けられますが、今回は悪いギャップについて着目したいと思います。
悪いギャップが大きければ、当然長期的に会社に居てくれることは難しくなるので、注意して見ていきましょう。実際にこれらのギャップが大きいほど、転職志向が高くなると示唆されています。

悪いギャップ第一位は「勤務時間」です。
求人や入社前説明の段階で伝えている勤務時間と実態が乖離していることが、最も悪く感じるそうです。

悪いギャップ第二位は「上司の能力や資質」です。
一般的に、どんな人が直属の上長となるかは入社前にイメージしにくく、働いてみたら期待していた上長ではなかったというケースも多いようです。

悪いギャップ第三位は「仕事から得られる成長機会」です。
必要なスキルや経験が得られると期待していたのに、そもそもチャレンジする機会が与えられなかったという場合は、新入社員にとってネガティブに受け取られるようです。

3. 組織として悪いギャップを防ぐ方法

ここまでは、全国求人情報協会(2024)が公表したデータを紹介してきましたが、最後に組織として出来る対策についてお伝えします。

「勤務時間」は、公表している時間と実態の乖離が少ないようにする必要があります。
実態として多少勤務時間が多い場合も、正直に公表し、企業としてどんな方針や対応を考えているのか明確にすることでギャップを防げるかもしれません。

「上司の能力や資質」は、それ自体はすぐに変えることが難しいです。
しかし、ギャップを減らすために、入社前にどんな上長が働いているかの情報を公表したり、実施に働いている人達の情報を与えたりするなどの対策は可能です。
人物像がイメージで出来てから入社するのと、全く想像出来ないのでは大きく異なります。

「成長の機会」は、今後の見通しを持たせてあげることが大切です。
現状どうしても作業や事務的な業務がメインになる場合もあると思います。その場合も、なぜ入社後にその業務を行う必要があるのか、今後どのようなキャリアプランがあるのか、いつ頃メイン業務を担当できるようになるのかなど、未来についての情報を明確に伝えることは出来ます。

以上となります。
どの対策も共通するのは、明確にメッセージや方針を伝えることです。
会社側はなんとなく考えていても、明確に言葉として伝えている人は少ないかもしれません。あるいは、全体としては伝えていても、個人については疎かになっているかもしれません。


入社時点で3割も転職を考えているとは驚きました。しかも、これは正直に回答したという前提なので、もしかすると潜在的にはもっといるかもしれません。
そう考えると、「たった3割か」と悠長に考えられず、無視できない数字ですね。
とはいえ、時代と共に変化していく数字だと思いますので、今後の動向も追っていきたいです。