はじめに

これまで障害者雇用促進法では、事業主に対して法定雇用率である2.3%以上の障害者の方を雇うことを義務づけていました(民間企業の場合)。

この法定雇用率が2024年4月には2.5%となり、従業員40.0人以上の企業が対象となります。さらに2026年7月より法定雇用率が2.7%となり、従業員37.5人以上の企業に広がることとなります。

障害者雇用は、すべての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するための取組みであり、障害者雇用率はこれまでも何度か改正が行われ、段階的に引き上げられています。

民間企業の雇用障害者と実雇用率がいずれも過去最高に

厚生労働省が雇用状況についてまとめた、令和5年「障害者雇用状況の集計結果」によれば、民間企業の状況は下記のようになっています。

・雇用障害者数は64万2,178人、対前年差2万8,220人増加、対前年比4.6%増加
・実雇用率2.33%、対前年比0.08ポイント上昇

民間企業の雇用障害者数と実雇用率はいずれも過去最高となっており、この流れは今後も加速していくものと考えられます。

参考:厚生労働省(2023),障害者雇用状況の集計結果

2024年4月の改正に伴って企業がする対応

2024年4月に法定雇用率が2.5%となることに伴って、従業員40人以上の事業主がする対応は以下の通りです。

・毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告すること
・障害者雇用の促進と継続を図るために「障害者雇用推進者」を選任するよう努めること
・障害者を解雇する場合、ハローワークに解雇届を届け出ること

従業員数のカウント

従業員数のカウント方法ですが、事業所が複数ある場合でも、事業主(企業)全体で集計を行います。

1年を超えて雇用されている、または1年を超えて雇用される見込みのある「常用労働者」が対象となり、週の所定労働時間によってカウント方法が異なります。

週所定労働時間が30時間以上の従業員は従業員数「1」、20時間以上30時間未満の従業員は従業員数「0.5」と数えます。

有期契約社員やパート・アルバイトなどの雇用形態にかかわらずカウントの対象になるので注意しましょう。

障害者数のカウント

現行では、障害者の雇用義務が課されているのは、週所定労働時間が20時間以上の労働者です。

ただ、障害の特性で長時間の勤務が難しい方や週所定労働時間20時間未満での雇用を希望する方が一定数いらっしゃったことから、雇用機会の拡大を図ることを目的として、2024年4月から対象範囲の見直しが行われることとなりました。

2024年4月の改定からは、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者および重度知的障害者についても0.5人としてカウントされます。


参考:厚生労働省(2022),障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等の一部を改正する法律案の概要


今回は、2024年4月に改正される障害者雇用促進法の法定雇用率改正についてご説明させていただきました。

企業の業務拡大によって新たに雇用の義務が生ずるなどの対応が必要になることも考えられますので、ぜひ改正の状況についてご確認いただけたらと思います。