■カスハラへの注目が高まる
突然ですが、12月は何の月がご存じでしょうか。
厚生労働省によると、12月は「職場のハラスメント撲滅月間」ということです。
先日も、職場の人事労務担当者へ向けて、ハラスメント撲滅に関するリーフレットが公表されました。
公表された中で、新しく追加されたハラスメントとして、「カスハラ」があります。
カスハラとは、カスタマーハラスメントの略称で、いわゆる顧客からのハラスメントのことを指します。
具体的には、「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」と定義されました。
これまでのハラスメント対策の多くは、組織内へ向けたものでした。
しかし、カスハラの追加により、組織外からのハラスメントで労働者の就業環境が害されていないかも重要視されるようになりました。
※詳しくはこちら
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36416.html
■カスハラの判断基準
厚労省によると、カスハラと言えるかどうかは、2つの基準があるとされています。
①顧客等の要求内容に妥当性があるか
1つ目は、顧客等の主張について、事実確認と因果関係を確認し、自社に過失がないか、根拠ある要求がなされているかで判断するというものです。
顧客が購入した商品やサービスに対し、自社側に落ち度がなく、不当なクレームの場合はカスハラとなります。
②要求を実現するための手段・態様が社会通念に照らして妥当な範囲か
2つ目は、顧客等の要求内容とあわせて、その要求手段が不当なものかどうかで判断します。
要求手段が暴力的・威圧的・差別的・拘束的・性的である場合などは、不当とみなされ、カスハラとなります。
※参考資料:https://www.mhlw.go.jp/content/11910000/001168047.pdf
■カスハラへの対策と対応
カスハラに対しては、事前に対策しておくことが大切です。
対策例としては、これらが挙げられます。
・トップが基本方針や基本姿勢を明確に示し、周知する。
・被害者(従業員)のための相談窓口の設置と周知
・カスハラへの対応方法や手順の決定
・社内で一貫した対応をするための従業員研修
しかし、いくら事前に対策しても、100%防ぐことは出来ません。
そこで、起きてしまった際の対応も考えておく必要があります。
対応例としては、これらが考えらます。
・顧客と従業員から、証拠や証言に基づいた事実確認を行う
・被害を受けた従業員に対する、メンタルヘルス不調などの配慮
・再発防止のための取り決め
・被害者や相談者、報告者のプライバシー保護
■カスハラに関する注意点
最後にカスハラに関しての注意点をお伝えします。
今回はカスハラの判断基準や、その対策と対応についてお伝えしました。
重要な点は、「従業員の就業やメンタルヘルスに不調をきたすか」です。
カスハラかどうかに限らず、従業員が安心・安全に就業できるよう、組織として検討していきましょう。
ハラスメントを聞くと、とうしても組織内へ目を向けがちですが、これを機に組織外からのハラスメントもないかあわせて見ていきましょう。
「お客様は神様」という言葉がありますが、それを啓蒙しすぎて、従業員の負担となっていなか確認することが大切ですね。
お客様を大切にするためにも、従業員が安心・安全に働ける環境か、カスハラを認めていないかまで考慮できると、素敵な組織の第一歩かもしれません。