今回は妊娠⇒出産⇒育児 に関する手続きの流れをご説明する予定でしたが、
予定を変更し、産前休業に入る前についてすこし説明します。

妊娠がわかったら

妊娠がわかったら、出産予定日から産前産後休業開始日を割り出します。
産前休業は出産予定日の42日前(多胎の場合は98日前)が開始日となります。
妊娠初期には(場合によっては出産ギリギリまで)悪阻がひどかったり、場合によっては切迫流産等いろいろなトラブルが考えられます。
場合によっては職場や周囲の人に助けを借りる必要があるかもしれません。
相談しやすい環境を作ることが必要ですね。

妊娠中や出産後1年以内の女性から申し出があった場合、事業主は適切な処置を講じる必要があります。
申出には診断書等の提出を求められることも多いでしょう。
その際にとても便利なカードがあります。
主治医等が行った指導事項の内容を、妊産婦である女性労働者から事業主へ的確に伝えるためのカード
「母子母性健康管理指導事項連絡カード」です。
事業主は母権連絡カードの記載内容に応じ、男女雇用機会均等法第13条に基づく適切な措置を講じる義務があります。

産前休業が開始される前に4日以上お休みされる場合には、主治医の診断を仰ぎ、
必要に応じて社会保険の傷病手当金の申請をしましょう。
※傷病手当金の支給申請には上記の「母建連絡カード」は医師の証明の代わりにはできませんので、
別途医師の証明欄の記入依頼が必要です。

時短勤務の注意点

産前休業の開始前の期間は妊婦である従業員の負担を減らすため「時短勤務」を選択される場合もあるかと思います。
しかし出産後に育児休業給付金を受給する場合には、時短勤務に注意が必要です。
というのも、育児休業給付金の算出に当たっては、
育児休業開始前の6カ月の賃金を180(日)で除した休業開始自賃金日額の67%(6カ月経過後は50%)をかけて給付金額を算出しますが、
休業前の6カ月が単に直前の6カ月ではありません。
休業開始時賃金日額でカウントされるのは、月に11日以上働いた月で、
たとえば勤務日数を10日減らした月は対象とならず、それ以前の月が計算対象となります。
時短勤務をすると1日当たりの給料は下がりますが、出勤日数が変わらないのであれば、下がった月の賃金分が計算対象となります。


上記の例で、6カ月間の育児休業給付金の額を比べてみると
A・B:8,330円×180日×67%=1,004,598円
c:5,000円×180日×67%=603,000円
と、大きな差がでてしまいます。実際にはお子様が1歳になるまで育児休業を取る方が多いので、
期間がながくなるとその差はもっと大きくなってしまいます。

この話題は2021年のドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の中でも出てきて、ハッとした方も多かったのではないでしょうか。
悪阻で体調が悪い中、よかれと時短勤務にして働いても給付金の額に差が開いてしまう・・・なんだかモヤモヤしてしまいますね。

次回はいよいよ産前休業からの手続きの流れについてご説明いたします。