今回は厚生労働省により公表されている「令和4年労働安全衛生調査(実態調査)」の結果報告およびメンタルヘルスに関する事項についてまとめました。

この調査は、事業所が行っている安全衛生管理、労働災害防止活動およびそこで働く労働者の仕事や職業生活行政を推進するための基礎資料を得ることを目的として行われました。

事業所調査の結果

1. メンタルヘルス不調により連続1カ月以上休業した労働者または退職した労働者の状況
過去1年間(令和3年11月1日から令和4年10月31日までの期間)にメンタルヘルス不調により連続1カ月以上休業した労働者または退職した労働者がいた事業所の割合は13.3%。

2. メンタルヘルス対策への取組状況
メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は63.4%。
取組内容を見ると、「ストレスチェックの実施」が63.1%と最も多く、次いで「メンタルヘル不調の労働者に対する必要な配慮の実施」が53.6%。

3. ストレスチェック結果の活用状況
ストレスチェックを実施した事業所のうち、結果の集団(部、課など)ごとの分析を実施した事業所の割合は72.2%であり、その中で分析結果を活用した事業所の割合は80.2%。

個人調査の結果

1. 仕事や職業生活に関する強いストレス
現在の仕事や職業生活に関することで、ストレスになっていると感じる事柄がある労働者の割合は82.2%。
ストレスの内容をみると、「仕事の量」が36.3%と最も多く、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」が35.9%、「仕事の質」が27.1%。

2. 仕事や職業生活に関する不安、悩み、ストレスについて相談できる人の有無等
仕事や職業生活でのストレスについて相談できる人がいる労働者の割合は91.4%。
その中の、ストレスを相談できる相手をみると、「家族・友人」が68.4%と最も多く、次いで「同僚」が68.0%。

その他、詳しい結果報告は厚生労働省下記URLをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/r04-46-50b.html

メンタルヘルスケア

厚生労働省では、メンタルヘルスケアについて下記のように定義されています。
メンタルヘルスケアとは、全ての働く人が健やかに、いきいきと働けるような気配りと援助することをいいます。
健康な人からストレス状態にある人まで、全ての働く人を対象としていることが大切なポイントです。

今回の調査で、メンタルヘルス不調による休職者の割合は増加傾向にあることが分かりました。
従業員の心の健康維持のためにも、職場の活性化、生産性の向上のためにも、企業としてはメンタルヘルスケアについて理解し、継続的に対策を講じていく必要があります。


メンタルヘルスが不調になると脳の機能が低下し、集中力や判断力のほか、物事に対する意欲や好奇心までもが低下してしまいます。
すると、職場でのパフォーマンス低下にもつながり、組織としてもマイナスになってしまいます。健全な組織運営のためにも、メンタルヘルスケアについて理解し、不調をきたす前に予防していきましょう。