ChatGTPが登場したことによって、生成AIへの関心が高まっています。今後は生成AIによって様々な仕事が変化し、求められる人材やスキルについても変化していくことが予想されます。
このことについて経済産業省で「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方」を取りまとめていますので、概要を見ていきたいと思います。
①生成AIが社会にもたらすインパクト
生成AIはホワイトカラーの業務を中心に、大きなビジネス機会を引き出す可能性があるとされています。
企業視点で見ると「生成AIの利用によるDX推進への後押し」が期待され、そのために下記の実行が必要になると考えられます。
・経営者のコミットメント
・社内体制整備
・社内教育
・顧客価値の差別化を図るデザインスキル等の向上
②生成AIがデジタル人材育成やスキルに及ぼす影響
生成AIによる環境変化に対応するため学び続けること、そのための企業内での環境整備が必要となります。また重要とされるのは下記のスキルです。
・生成AIを適切に使うスキル
・人間ならではのクリエイティブなスキル（起業家精神、デザインスキル等）
生成AIの利用によって作業ベースの業務は効率化されると考えられるため、業務を通じて経験を蓄積する機会が減少してしまう点には注意が必要でしょう。
※特に「新入社員が作業しながら学んでいく機会をどのように代替するか」の検討が必要です。
③生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキル（リテラシーレベル）の考え方
生成AI時代に必要とされるスキルについて、経済産業省では以下のようにまとめています。
1. マインド・スタンス（変化をいとわず学び続ける）やデジタルリテラシー（倫理、知識の体系的理解等）
2. 言語を使って対話する以上は必要となる、指示（プロンプト）の習熟、言語化の能力、対話力（日本語力含む）等
3. 経験を通じて培われる、「問いを立てる力」・「仮説を立てる力・検証する力」等
④政策対応
生成AIによる環境変化に対応するための政策が行われています。現在まで行われている政策は以下の通りです。
・情報処理推進機構（IPA)において、生成AIの登場や進化を踏まえた「デジタルスキル標準（DSS)」の改訂を実施
・デジタルスキルを身につけるための教育コンテンツを一元的に提示するポータルサイト「マナビDX」において、生成AIの利用方法を学べる講座を追加掲載
・デジタル推進人材育成プログラム「マナビDX Quest」で、受講生が取り組む課題解決において、本年度から生成AIを利用
・「情報処理技術者試験」のうち「ITパスポート試験」について、出題範囲のシラバスに生成AIに関連する内容を追加するとともに、サンプル問題を公開
経済産業省：「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方」
https://www.meti.go.jp/press/2023/08/20230807001/20230807001.html
経済産業省ではデジタル時代の人材政策に関する検討会での議論を行っており、求められる人材像やスキルについては指標が示されています。
ただ、時代や技術の進化に応じて求められる人材・スキルも変化してくる可能性が十分あるので、常に学習と適応を意識しておくことが大切といえるでしょう。
生成AIの登場によって、多かれ少なかれ今後は企業や個人ともに新しい環境に適応していく必要が出てくると考えられます。
政府も様々な施策を行っていますので、時折チェックしてみることをおすすめいたします。