最低賃金が全国平均1,002円へ大幅アップ

2023年7月28日厚生労働省は、2023年度の最低賃金の引き上げ額を過去最高の41年~39円に定めました。今後こちらをもとに各都道府県において審議が行われ、実際の引き上げ額が決定されます(地域別最低賃金は例年おおむね10月に改定)。

仮に目安どおりに各都道府県で引き上げが行われた場合の全国平均は1,002円となり、初めて1,000円を超えることとなります

今年度は都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をAランク、Bランク、Cランクの3つのランクに分け、引上げ額の目安をそれぞれ41円、40円、39円としています。


2023年10月から都道府県別の最低賃金一覧

上記ランクに基づき、2023年10月からの都道府県別の最低賃金を計算しますと、東京都1,113円、埼玉県1,028円、神奈川県1,112円となります。
詳細は下記をご覧くださいませ(適用日は都道府県ごとに異なります)。


正式な最低賃金は、地方最低賃金審議会を経ての決定になりますが、大幅な引き上げになることは確実な状態です。
引き上げ額通りとなった場合に最低賃金額を下回る従業員がいないか、今のうちから確認の上対策を検討したいところです。

最低賃金Q&A

Q1. 月給制の場合、最低賃金の確認方法を教えてください。

A1. 最低賃金は時間給で定められていますので、月給制の方は時間給に換算した上で、その額が最低賃金以上かを確認することになります。
月給 ÷ 1カ月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額

【事例】(東京都・最低賃金1,113円)
基本給:150,000円
資格手当:50,000円
通勤手当:5,000円(※)
残業手当:15,000円(※)
————————-
1カ月平均所定労働時間:168時間

月給(基本給150,000円 + 資格手当 50,000円) ÷ 168時間
= 1,190円 ≧ 1,113円

となり、この場合は最低賃金以上となります。

(※)通勤手当・残業手当は最低賃金の対象から除外します。

Q2. 毎月の給与では最低賃金を下回りますが、その分賞与などで補うことは出来ますか?

A2. 賞与などで補うことは認められません。
最低賃金を計算する際、次の賃金は算入しないこととされています。

ア 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
イ 1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
ウ 残業手当・休日出勤手当・深夜労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算を超える部分
エ 皆勤手当・通勤手当・家族手当

Q3. 試用期間中の方にも最低賃金は適用されますか?

A3. 試用期間中の方にも最低賃金は適用されます。
法律上は下記の減額特例が認められていますが、こちらの減額特例を受ける場合は「最低賃金の減額の特例許可書」を作成し、都道府県局長の許可を受ける必要があります。試用期間を理由とする減額特例の許可はほとんど行われていないのが現状です。

※最低賃金の減額特例
一般の労働者より著しく労働能力が低いなどの場合に、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用機会を狭めるおそれがあるため、特定の労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件として個別に最低賃金の特例が認めらています。
・精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者
・試の使用期間中の者
・職業能力開発促進法に基づく認定職業訓練を受ける者のうち一定の者
・軽易な業務に従事する者
・断続的労働に従事する者