労働施策総合推進法では、募集および採用における年齢制限禁止を定めています。
しかし、雇う側として、特定の年齢層の従業員が欲しいという現実的な問題もあると思います。
そこで、どうすれば例外的に、年齢制限を設けた求人が可能になるのか解説いたします。
Contents
原則は募集・採用時の年齢制限禁止
まずは原則的に定められている事項を確認していきましょう。
労働者の募集および採用の際には、原則として年齢を不問としなければなりません。
ハローワークを利用する場合をはじめ、民間の職業紹介事業者、求人広告などを通じて募集・採用する場合や、事業主が自ら募集・採用する場合(ホームページでの直接募集など)を含め、幅広く適用されます。また、パート、アルバイト、派遣など雇用の形態を問いません。
形式的に求人票を「年齢不問」とすれば良いということではありません。
求人票では年齢不問としながらも、書類選考や面接で年齢を理由に応募を断ったり採否を決定したりすることも、法の規定に反します。
本人の希望を関係なく、一定年齢以上はパートタイムにするなど、応募者の年齢を理由に雇用形態、職種などの求人条件を行うことはできません。
参照:厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000708105.pdf
具体的に下記のような場合は違反に該当します。
①ハードな重労働で高齢者には到底無理、40歳以下で募集。
②若者向けの洋服の販売スタッフなので30歳以下で募集。
③社長が40代、その他のスタッフも30代以下。中高年齢者は業務上指導しづらい。
④PC操作や夜間業務もたくさん。スキルや体力面で、高齢者は不安。
⑤幼稚園の送迎バスアシスタント。始業時間は早朝だし、子どもを相手にするので若い人で。
⑥一定の経験が必要な指導業務だから、50歳以上で募集(上限ではなく下限年齢の設定)。
どうすれば特定の年齢層の求人が可能となるか
ここまでお伝えした通り、原則的に年齢制限の求人・採用は禁止とされています。
しかし、ある条件下では年齢を絞った求人が可能となることもあります。
①長期継続的なキャリア形成を図るために若年者等を採用する
期間の定めがないこと、実務経験を必要としないこと、これらを条件に若年者等(概ね35歳未満)の年齢制限を設けることが可能です。
また、「2023年3月卒業見込みの者」と卒業年を記載して新卒者のみを募集する場合も認められています。
②技能の継承が必要なため、特定の職種において年齢制限を設ける
こちらは、現在とある年齢層の従業員が不足している場合に可能となります。
例えば、現在の従業員数が下記のような場合です。
他の年齢層に比べて、30~39歳が不足していることから、「〇〇職として30~39歳の人を募集」とすることが出来ます。
ただし条件として、年齢層は「30~49歳のうち、5~10歳幅」であること、不足しているとは「他の年齢層と比べて約1/2以下」であることが必要です。
③60歳以上の高齢者を募集する
60歳以上の従業員を募集する際は、その旨を明記しても問題ありません。
ただし、「60歳以上65歳以下の方募集」など、幅を限定しないようにする必要があります。
その他:間接的に伝える
上記の例外理由なしに、「20代を募集しています!」と直接的に表現することは禁止されていますが、間接的に表現することは可能です。
例えば、「20代の社員が活躍している職場です」「30代未経験でもどんどんキャリアアップしています」などです。
これらは、単にどのような職場なのかを表現しているだけですので、OKとされることが多いです。
以上となります。いかがでしたでしょうか。
原則年齢制限は禁止されているものの、例外条件を知っておくことで、自身の組織に必要な年齢層の従業員を雇用することが可能となります。
もし、今求人を出している場合は、内容を見直してみるとよいかもしれません。