厚生労働省により公表されている「今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会報告書」の中の、仕事と育児の両立支援制度についてまとめました。
少子高齢化が進む中で、多様な人材が活躍できる環境整備が課題となっています。
今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会報告書
今回の報告書では、今後の両立支援制度の検討にあたっての基本的な考え方を「ライフステージに関わらず、全ての労働者が残業のない働き方となっていることをあるべき方向性として目指しつつ、以下の点を基本として継続的に取り組んでいく」としています。
①男女がともに望むキャリアを実現
夫婦で育児・家事を分担することが自然だという考え方に対応していく。
②働き方改革の推進
・長時間労働の是正や柔軟な働き方を選択できる職場づくりを進める。
・誰もが休みやすい職場の体制を構築していく。
→様々なライフイベントとの両立が可能になる。
③育児期・介護期の支援
・休業や短時間勤務など、性別に関わらず気兼ねなく使える。
・柔軟な働き方により、フルタイムで働きながら両立ができるようにする。
・コロナ禍で広がったテレワークを、環境の整備などに配慮しつつ活用していく。
このような基本的な考え方をもとに、仕事と育児の両立支援を具体的にどのように進めていくべきかは、以下のように記されています。
子の年齢に応じた両立支援に対するニーズへの対応
(1)子が3歳になるまでの両立支援の拡充
・テレワークを活用促進する。
テレワークを、事業主の努力義務とする。
・短時間勤務制度を見直す。
所定労働時間を1日6時間とする以外の他の勤務時間も併せて設定することを一層促していく。
(2)子が3歳以降小学校就学前までの両立支援の拡充
・柔軟な働き方を実現するため、短時間勤務制度、テレワーク、始業時刻の変更、新たな休暇の付与等の措置を講ずる義務を設ける。
・残業免除を3歳以降小学校就学前まで請求を可能とする。
(3)子の看護休暇制度の見直し
・取得目的→子の行事参加や、感染症に伴う学級閉鎖等にも活用できるようにする。
・取得可能な年齢→小学校3年生の修了までに引き上げる。
・勤続6カ月未満の労働者→勤続6カ月未満の労働者を労使協定により除外できる仕組みを廃止する。
仕事と育児の両立支援制度の活用促進
(1)制度の活用をサポートする企業や周囲の労働者に対する支援
男女ともに気兼ねなく育児休業や短時間勤務制度を利用できるよう、代替要員の雇用や周囲の労働者の負担軽減を行う中小企業に対する助成措置を強化する。
(2)育児休業取得状況の公表や取得率の目標設定について
・育児休業取得状況について、一定の配慮の上、公表を義務付けていく。
・男性の育児休業取得日数や育児、家事時間も含めた目標を検討していく。
こちらの報告書を踏まえ、今後、労働政策審議会雇用環境・均等分科会において、引き続き検討を行っていくとのことです。