2022年4月より加給年金の支給停止ルールの改正が実施されました。
このことによって何が起きるのかというと、これまで加給年金の支給対象だった方が、支給停止の対象になってしまう可能性が出てきました。
加給年金額は決して小さくないので、特に対象者の方は見直しの詳細をしっかり把握しておいてください。
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加給年金とは何か?
加給年金は、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある人に、65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)で生計を維持している配偶者または子がいる場合、自身の年金に加算されるものです。
加給年金を受け取るためには具体的には以下の条件を満たしていることが必要になります。
- 65歳以上で厚生年金を受給
- 65歳未満で定額部分を受給
- 厚生年金の被保険者期間が20年以上
- 厚生年金の被保険者期間が20年未満の場合、40歳(女性は35歳)以降の被保険者期間が15年~19年
- 生計を維持している配偶者もしくは子どもがいる
また、配偶者や子どもの条件は以下の通りです。
- 配偶者は65歳未満
- 子どもは18歳到達年度の末日まで(1、2級の障害状態にある場合は20歳未満)
- 配偶者が被保険者期間20年以上の厚生年金を受ける権利がない
- 年収が850万円未満(所得655万5000円未満)
そして、加給年金額は以下のようになっています。
改正前と改正後の違い
改正前においては、配偶者が老齢厚生年金、退職共済年金を受け取る権利があって、一部支給されている場合は加給年金が支給停止となっていました。
そして、配偶者の年金が全額支給停止されている場合、加給年金を支給されるという、以下のような措置になっていました。
- 配偶者の老齢厚生年金や退職共済年金が全額停止されている→加給年金支給
- 配偶者の老齢厚生年金や退職共済年金が一部支給されている→加給年金支給停止
ただ、2022年4月からの改正により、以下のように変更となりました。
- 配偶者の老齢厚生年金や退職共済年金が全額停止されている→加給年金支給停止
- 配偶者の老齢厚生年金や退職共済年金が一部支給されている→加給年金支給停止
つまり改正後においては、配偶者が老齢厚生年金や退職共済年金を受け取る権利を持っていたら、たとえ支給されていなかったとしても、加給年金は全額停止になるということです。
ちなみに、障害年金について変更はありません。
尚、この改正においては経過措置が設けられており、以下の要件をすべて満たす場合は加給年金が継続になります。
- 2022年3月時点で、本人の老齢厚生年金もしくは障害厚生年金に加給年金が加算されている場合
- 2022年3月時点で、配偶者に厚生年金保険被保険者期間20年(240月以上)の老齢厚生年金を受け取る権利があり、全額支給停止されている場合
まとめ
この改正により、配偶者の老齢厚生年金や退職共済年金が全額支給停止されていても、年金を受け取る権利があれば、加給年金が支給停止されることになりました。
このことによって年金収入の急激な減少が起きないよう経過措置が設けられているので、要件を満たすかどうかチェックしておくことをおすすめします。
詳細については、日本年金機構の「加給年金についてのパンフレット」をご参照ください。
参考記事:日本年金機構