はじめに
育児・介護休業法改正により、新たに「柔軟な働き方を実現するための措置」を講ずることが義務づけられ、2025年10月に施行されます。
3歳以上小学校就学前の子を養育する従業員の方に対して、法令が定める下記の措置【5つから2つ以上】の措置を講じ、従業員がそのうち1つを選択して利用できるようにする必要があります。
厚生労働者から「令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&A」が公表されています。
今回はその中から「柔軟な働き方を実現するための措置」について実務上特に疑問が生じやすいと思われる内容を選んで紹介させていただきます。
柔軟な働き方を実現するための措置Q&A
Q1. 「養育両立支援休暇」については無給でもよいでしょうか。
A1. はい、無給でも問題ありません。
「養育両立支援休暇」を取得している期間については、従業員は労務を提供していないため、無給でも問題ありませんが、企業独自に法を上回る措置をして有給とすることは差し支えありません。
(参考:厚生労働省Q&A2-13)
Q2. 「養育両立支援休暇」は「子の看護等休暇」と取得理由が異なりますか。
A2. はい、異なります。
養育両立支援休暇の取得理由は、就業しつつ子を養育するものに資するものであれば、いかなる目的に利用するかは従業員にゆだねられます。
※養育両立支援休暇の利用例:子の看護等休暇の用途(負傷、疾病にかかった子の世話、予防接種や健康診断、学級閉鎖等、入園、卒園、入学式など)のほか、例えば、通常保育所に子を迎えに行く配偶者が出張等で当該迎えが出来ない日に時間単位で休暇を取得し保育所に子を迎えに行く、子が就学する小学校等の下見に行くなど。)
(参考:厚生労働省Q&A2-12)
Q3. 「養育両立支援休暇」の付与については、1年に10日以上の休暇の付与が定められていますが、「半年につき5日」、「1か月につき1日」等とし、トータルで1年に10日以上となるような仕組みでもよいですか。
A3. 問題ありません。
「養育両立支援休暇」の付与については、1年につき10日労働日以上の利用をすることができるものとすることとされています。「1年につき」とされているため、例えば「6か月で5日」、「1か月で1日」のように、社内制度において1年以内の期間で配分を設定した場合でもあっても、1年単位でみたときに計10労働日以上の休暇が確保されていれば差し支えありません。
(参考:厚生労働省Q&A2-14)
Q4. 「柔軟な働き方を実現するための措置」を企業単位で2つ設置するではなく、業務の性質または業務の実施体制に照らして事業所単位や事業所内のライン単位、職種ごとに設置してもよいですか。
A4. 差し支えありません。
措置の選択にあたっては、職場の実情を適切に反映するため、事業所の業務の性質や内容等に応じて措置の組み合わせを変えるなどの取組みを行うことが望ましいです。
(参考:厚生労働省Q&A2-4)
Q5. 事業主が「柔軟な働き方を実現するための措置」を用意したとしても、労働者の業務内容によって選択できないような場合、事業主側は措置義務を果たしたことになりますか。
A5. そのような場合、措置義務を果たしたことにはなりません。
従業員の個々の事情による求めに応じて措置することまで義務とはしていないものの、従業員の職種や配置等から利用できないことがあらかじめ想定できるものを措置することは、事業主が措置義務を果たしたことにはなりません。
このため、企業単位での措置を考えるだけでなく、事業所単位、あるいは事業所内のライン単位や職種ごとに講ずる措置の組み合わせを変えることとしても差し支えありません。
(参考:厚生労働省Q&A2-5)
Q6. 事業主が選択して措置する制度の中にある「保育施設の設置運営等」の「等」には何が含まれますか。
A6. 例えば事業主がベビーシッターを手配(※)し、かつ、当該ベビーシッターの係る費用を補助することが含まれます。
※「手配」とは、ベビーシッター派遣会社と事業主が契約を締結して労働者からの希望に応じて当該会社に事業主が派遣の依頼を行うほか、ベビーシッター派遣会社と事業主が契約し、労働者が直接当該会社に派遣の依頼をすることも含まれます。
(参考:厚生労働省Q&A2-15)
Q7. 当社では、福利厚生サービスを提供する企業と契約し、年会費を支払い、カフェテリアプランの一環として、社員が当該企業が提供するベビーシッターのサービス等の福祉厚生サービスを選択・利用できるようにしています。この場合、ベビーシッターの手配及び費用負担の措置を講じたことになりますか。
A7. 措置を講じたことになります。
事業主は、福利厚生サービス会社と法人契約し(手配)、会費を支払うことにより事実上従業員が利用したベビーシッターサービス料金の一部を負担しているため(費用負担)、事業主の「手配」かつ「費用負担」が認められるので、便宜の供与に該当し、措置を講じたことになります。
(参考:厚生労働省Q&A2-17)
■参考リンク 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001383031.pdf
柔軟な働き方をする措置は、2025年10月からとなりますが、厚生労働省よりリーフレットやQ&Aが出ていますので、是非概要を確認していただくことをおすすめいたします。