はじめに
現在、派遣社員の活用は企業にとって重要な選択肢の一つですが、どのような働き方が主流なのか、派遣社員の満足度や課題は何かを把握していることで、より良い雇用環境の整備につなげられます。
一般社団法人日本人材派遣協会が行った「派遣社員WEBアンケート調査結果2024年度」では、過去3年未満の間に派遣で働いていたことがある方5,245人を対象に、就業条件や実際の働き方、満足度などを聞きました。
https://www.jassa.or.jp/know/library/questionnaire/
今回は、その結果を基に派遣社員の現状と本音を見ていきましょう。
1. 派遣社員の就業状況について
はじめに、労働契約の期間について見ていきましょう。
71.5%の派遣社員が「有期労働契約」で働いており、契約期間は「3か月」が64.5%と最も多くなっています。
昨年に比べて、有期契約の割合は減少傾向にあるものの、まだまだ一般的な働き方と言えます。
また、派遣社員がどのような業務を行っているかも調べたところ、OA事務(オフィスでパソコンなどを使用して文書作成などを行う)が断トツで28.9%、次点でその他オフィス業務9.6%、庶務実務8.8%、営業事務5.5%と、事務系の業務がほとんどとなっています。
特別なスキルや知識、経験が必要な業務は任されにくく、マニュアルやひな形に沿って素早く処理することが求められるようです。
2. 派遣社員の賃金
次に賃金を見ていきましょう。
派遣社員の多くが時給ですので、時給平均を見ると、2024年は1,670円だったそうです。
一見多く感じるじるかもしれませんが、2023年より27円下がっています。
ただし、これは東京・愛知・大阪の都市部での結果です。
地方では、1,396円となっており、2023年より25円上がっているそうです。
都市部と地方では大きく賃金が異なりますので、自分の会社がどこにあるかも加味して、平均値を参考にしてみるとよいと思います。
3. これまでと今後のキャリア形成
派遣で働いている理由を調べたところ、「働く時間や時間帯を選べるため」が最も多く42.4%、次いで「勤務地を選べるため」(35.5%)、「やりたい職種や業務内容を選べるため」(33.2%)となりました。
これらの理由から、比較的自由度の高い環境や、自分で選択できることが好まれるようです。
これらの結果は、年代別でも大きく変わることなく、一貫した回答となりました。
一方、今後どのような働き方を望んでいるか聞いたところ、「派遣社員希望」が45.0%、限定正社員も含めて「正社員希望」が29.4%、「特に考えていない・働き方には特にこだわらない」が18.9%となりました。
現在の派遣社員での働き方をそのまま継続したい方が多いようです。
以外にも、「特に考えてない」が2割近くいることも驚きかもしれません。
4. 現状の満足度
最後に、現在の仕事や働き方についての調査結果をお伝えします。
働き方や仕事については、50%以上の方が「満足」「やや満足」と答えており、不満は20%前後と比較的高い満足度になっています。
ただし、「自身のキャリア形成について」は満足と不満が同程度になっています。
「どちらでもない」が半数いるものの、決して無視できない不満の割合です。
満足度は従業員の定着や、離職防止につながるものですので、都度確認していきましょう。
以上となります。いかがだったでしょうか。
派遣社員で働く方が何を望んでいえるか理解し、キャリアプランや組織環境を調整していくことは非常に重要です。