はじめに

2歳未満の子どもを育てる従業員の時短勤務による収入減少を補填し、時短勤務の活用を促進する施策として、「育児時短就業給付金」が2025年4月1日から開始されます。これにより、仕事と育児の両立や柔軟な働き方の実現が期待されます。

育児時短就業給付金の対象者や支給額など詳しい内容は以下の通りです。

1. 対象者

①2歳未満の子を養育するために、育児時短就業する雇用保険の被保険者であること
②育児休業給付の対象となる育児休業から引き続いて、育児時短就業を開始したこと
と、または、育児時短就業開始前2年間に、被保険者期間が12か月あること

加えて、次の③~⑥の要件をすべて満たす月について支給します。
③初日から末日まで続けて、雇用保険の被保険者である月
④1週間あたりの所定労働時間を短縮して就業した期間がある月
⑤初日から末日まで続けて、育児休業給付または介護休業給付を受給していない月
⑥高年齢雇用継続給付の受給対象となっていない月

2. 支給額・支給率

原則として、育児時短就業中に支払われた賃金額の10%相当額を支給します。
ただし、育児時短就業開始時の賃金水準を超えない範囲(時短前の賃金を超えない範囲)に調整されます。

※例:時短勤務中の賃金が月33万円の場合
→「33万円×10%」で、支給額は33,000円です。

なお、次の①~③の場合、給付金は支給されません。
①支給対象月に支払われた賃金額が育児時短就業前の賃金水準と比べて低下していないとき
②支給対象月に支払われた賃金額が支給限度額(459,000円※)以上であるとき
③支給額が最低限度額(2,295円※)以下であるとき
※2025年7月31日までの額。以後毎年8月1日に改定予定。

3. 支給期間

給付金は、原則として育児時短就業を開始した日の属する月から育児時短就業を終了した日の属する月までの各暦月について支給します。

以下の①~④の日の属する月までが支給対象期間となります。
①育児時短就業に係る子が2歳に達する日(誕生日の前日)の前日
②産前産後休業、育児休業または介護休業を開始した日の前日
③育児時短就業に係る子とは別の子を養育するために、育児時短就業を開始した日の前日
④子の死亡その他の事由により、子を養育しないこととなった日

4. 支給手続きに関する注意事項

・申請手続きは、原則として事業主経由で、2か月ごとに行います。
・初回の支給申請期限は、支給対象月の初日から4か月以内です。
・被保険者が希望する場合は、被保険者の方が自ら申請を行うことや、1か月ごとに支給申請を行うことも可能です。

5. 経過措置(2025年4月以前から時短就業をされている方)

2025年4月1日より前から2歳未満の子を養育するために育児時短就業に相当する時短就業を行っている場合は、2025年4月1日から育児時短就業を開始したものとみなして、要件を満たす場合は、2025年4月1日以降の各月を支給対象月として育児時短就業給付金を支給します。

その他、詳しい内容は下記URLをご参照ください。https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001395073.pdf


育児時短就業給付金の導入により、時短勤務を選択する労働者は増えることが予測されます。この新たな給付金について正しく理解し、スムースに運用できるよう準備を進めておくとよいでしょう。