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はじめに
間接差別というものをご存じでしょうか。
男女雇用機会均等法7条でも、募集・採用、配置・昇進などにおいて間接差別を禁止しており、日常の中で当たり前と思っている慣行、規則、取り決めなどについても配慮することが義務付けられています。
間接差別とは
間接差別とは以下の要素を満たす場合に該当します。
①性別以外の事由を要件としている措置であり、
②他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益をもたらすものであり、
③合理的な理由がないときに、その措置が講じられることを指します。
”間接”という文字通り、直接的に性差を理由としていなくても、間接的に差別へつながることはダメだという内容です。
間接差別には、いくつかの明確な条件がありますので、どういう時に「合理的でない」と判断されるのか、例と共に確認してきましょう。
間接差別として禁止される3つのこと
【禁止事項1】
労働者の募集または採用において、身長、体重、または体力を要件とする措置が含まれていること。
●身長、体重、体力要件を選考基準としていると判断される例
・募集または採用において、身長・体重・体力要件を満たしている者のみを対象とすること。
・複数ある採用基準の中に、身長・体重・体力要件が含まれていること。
●合理的な理由がないと判断される例
・荷物の運搬業務を含む職務について、当該業務に必要な筋力を超える筋力を要件とする場合。
・単なる受付や出入者チェックのみを行う警備員の職務について、身長や体重が一定以上であることを要件とする場合。
【禁止事項2】
労働者の募集、採用、昇進または職種の変更において、転居を伴う転勤に応じることを要件とすること。
●転勤要件を選考基準としていると判断される例
・募集、採用、昇進または職種の変更において、転居を伴う転勤に応じることが出来る者のみを対象とすること。または複数ある採用または昇進の基準の中に、転勤要件が含まれていること。
●合理的な理由がないと判断される例
・広域に展開する支店や支社がなく、またその展開計画も存在しない場合。
・広域に展開する支店や支社があるものの、長期間にわたり家庭の事情やその他の特別な事情で転勤を希望する場合を除き、転居を伴う転勤の実態がほとんどない場合。
【禁止事項3】
労働者の昇進に際し、転勤の経験があることを要件とすること。
●転勤経験要件を選考基準としていると判断される例
・特定の役職への昇進にあたって、転勤の経験がある者のみを対象とすること。
・複数ある昇進基準の中に、転勤経験要件が含まれていること。
●合理的な理由がないと判断される例
・特定の支店の管理職としての職務を遂行する上で、異なる支店での経験が特に必要とされない場合において、その支店の管理職に昇進する際に異なる支店での勤務経験を要件とする場合。
以上となります。
間接差別を防ぐには、募集や採用、昇進の基準を設定する際、その基準が特定の性別に不利益をもたらさないよう、客観的かつ具体的な理由に基づいているかどうかを確認する必要があります。
これにより、法的リスクを減らし、多様性を尊重したすべての社員が平等にチャンスを得られる職場環境を作ることが出来ます。
また、自分の立ち振る舞いや、組織のルールなどに自覚的になることも大切です。
日々無自覚に差別を行っている可能性を常に考えることが、差別解消の第一歩となります。