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1. 【新卒採用】「内定辞退あり」7割超
東京商工会議所が実施した「2025年新卒者の採用・選考活動動向に関する調査」によると、2024年12月末時点で、内定辞退の影響を受けた企業は全体の73.1%にのぼりました。
これは前年(67.4%)を5.7ポイント上回る結果であり、企業にとって内定辞退がより深刻化している現状が浮き彫りになりました。

2. 採用充足はわずか1割
「採用計画以上の25年新卒内定者数を確保できている」と回答した企業はわずか13.4%。逆に、計画に満たない企業は半数以上に上り、採用活動が厳しい局面にあることがうかがえます。
さらに、新卒採用が年内で終了しない「長期戦」の様相を呈しています。
3. 内定辞退を防ぐ❝つなぎ止め施策❞の実態
調査では、内定辞退防止に向けて企業がどのような施策を実施しているかも明らかになりました。
もっとも多かったのは「採用担当者からの定期的な連絡」(68.0%)、次いで「内定式・内々定式」(60.5%)、「懇談会」(47.4%)、「会社見学会」(43.9%)など、いずれも❝接点づくり❞を重視した内容が上位に挙がっています。
特に注目すべきは、対面・非対面を問わず「内定者との関係性構築」が辞退防止のカギとなっている点です。
今回の調査で見えてきたのは、「内定=確保」ではないとう厳しい現実です。
今後は一定割合が辞退する前提で内定を出すこと、つまり内定辞退を織り込んだ採用計画が必要不可欠です。
また、内定後のフォロー施策をルーティン化し、各施策が❝誰に・いつ・何のたに❞行われているかを明確にする必要があります。
さらに、エンゲージメントを高める工夫として、「同期との横のつながりづくり」や「入社後に期待される役割を❝見える化❞する資料」などが効果的です。
4. なぜ辞退されるのか?その背景を知る
内定辞退の主な理由には、以下のような傾向があります:
・他社との比較による志望度低下
・就職活動を通じたキャリア観の変化
・家族や周囲からのアドバイス
・職務地、職種、配置など条件面の不一致
・接触頻度の少なさによる不安の増幅
このように、辞退の背景には、「企業への確信のなさ」「入社後のイメージの曖昧さ」が根本にあることが多く、単に❝待遇❞の問題だけれはありません。
5. 経営と人事が一体となった採用戦略を
新卒採用は人事部門だけの責任ではなく、企業全体で取り組むべき「組織戦略」です。
経営層のコミットメントや配属現場の協力も含めて、一体的に設計していく必要があります。
特に、「現場社員が登場する施策」は効果的とされており、配属先でのリアルな働き方を伝えることで学生の不安を軽減し、企業へのイメージを高めることができます。
採用難・辞退増という課題に直面する中で、今後の採用活動では「入社までの伴走」がより重視される時代になってきました。「辞退を前提にした内定数の設定」「フォロー施策の体系化」「学生の不安を払拭する仕掛け」などを考ええる必要があるなと思います。