1. はじめに
従業員の方が介護休業等を取得する際には、まず(1)従業員が介護休業等を取得できる対象者であるか、(2)介護を必要としている家族が介護休業等の対象家族の範囲に該当しているか、そして(3)その家族が介護が必要な状態にあるかを確認する必要があります。
2. 介護が必要な状態にあるとは
育児・介護休業法および育児・介護休業法施行規則では、介護休業等の対象となる「要介護状態」について、「負傷、疾病又は身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」と定義しています。
そして、「常時介護を必要とする状態」については、下記のように通達で具体的な内容が示されています。
常時介護を必要とする状態に関する判断基準(R7.4月~)
3. 今回見直された内容
この「常時介護を必要とする状態」については、おもに高齢者の介護を念頭に作成されていました。
子どもに障害のある場合や医療的ケアを必要とする場合には解釈が難しいケースも考えられるということから、2025年4月に常時介護を必要とする状態について通達の見直しが行われました。
見直された通達には、「障害児・者や医療的ケア児・者を介護・支援する場合を含む」ということが明記されました。
また「介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること」に該当しないときに判断される項目も一部見直しが行われています。
4. 仕事と介護を両立できるように
常時介護を必要とする状態については、上表を参照にしつつ判断することになります。
ただこの判断基準の前提には、「この基準に厳密に従うことにとらわれて労働者の介護休業の取得が制限されてしまわないように、介護をしている労働者の個々の事情にあわせて、なるべく労働者が仕事と介護を両立できるよう、事業主は柔軟に運用することが望まれます」ということがあります。
つまり、仕事と介護の両立支援の観点からなるべく介護休業の取得を拒まないとうにという考えが示されています。
■参考リンク
厚生労働省「育児・介護休業法について」
介護休業等を利用するには、介護保険制度で要介護状態に該当している必要があると誤解されている方も少なくないのですが、育児・介護休業法に定める要介護状態とは必ずしも介護保険の要介護認定を受けている必要はありません。また高齢者だけでなく、障害児・者や医療的ケア児・者の介護・支援をする場合も含み、その内容が今回通達にも明記されました。